永松 茂久氏著「人は話し方が9割」

読書

2020年ビジネス書ランキングで常に上位にいた、永松 茂久氏著「人は話し方が9割」を紹介します。

本書は、会話がうまくなる“ちょっとした”エッセンスをわかりやすく伝えてくれています。
そのエッセンスを意識することで、人と話すことがラクになり、人生がよりよい方向に動き出すヒントが詰まった一冊です。

こんな人にオススメ
  • 初対面で何を話したら良いのかわからない
  • すぐに話が途切れて会話が続かない
  • うまく話せず失敗した経験がある

どんな本?

本書の結論を先にお伝えします。

結論
話し方は「聞き方が9割」

話し方なのに「聞き方」なの?と思う方もいらっしゃると思います。

結論をご理解頂くために3つステップに沿って説明します。

Step1:話す力は「スキル」より「メンタル」という事を理解する
Step2:「聞くことの重要性」を理解する
Step3:思いやスタンスをしっかり伝える

Step1:話す力は「スキル」より「メンタル」という事を理解する

自己肯定感

「人前で話した時、急に頭が真っ白になってしまった」
「何を言っているのかわからない、と言われて自信をなくした」
など、過去の経験がきっかけとなり、話すことへの苦手意識が芽生えてしまう人は少なくありません。

これは、自己肯定感が失われてしまっている状態です。

自己肯定感とは読んで字の如く「自分自身のことを肯定できているか?」ということです。

自己肯定感が失われてしまっている状態とは安心できない状態ということになります。

逆に考えると、自分を肯定できる、安心できる状態であれば確実にうまく話せるようになるということです。

つまり、話し方のテクニックを学ぶより自己肯定感を回復し話せるというメンタル状態に持って行くことが大切であると本書は伝えています。

全肯定

自己肯定感を回復する、高めるキーワードは「全肯定」です。

「全肯定」とは、話している相手を決して否定しない、そしてあなた自身も否定させないという、否定のない空間です。

否定のない空間づくりルール
  • 否定禁止
  • 笑顔でうなずく
  • プラストーク

否定禁止

会議では、誰かが何かを言った時に「そうは言っても」「それは、違うだろ」という空気が流れることがあります。

そうなると、誰もそれ以上話せなくなってしまいます。

意見や感想がどんどん出てくる場を作るためには、「とにかく正解を出さなければいけない」という思い込みを捨て、質より量を重視してどんな意見でも受け入れる雰囲気にすることです。

笑顔でうなずく

うなずきながら聞いてくれる人がいると、誰しも話しやすくなります。

安心感が話す力を引き出すのです。

プラストーク

プラストークとは、「人をほめること」「感動した話をすること」「今の現状を良くしていこうとすること」を指します。

ネガティブな話、否定的な話は、話す人と聞く人、双方のエネルギーを奪ってしまいます。

プラストークによって明るい空気を作るようにしましょう。

全肯定の中に身を置くことで、自然と自己否定感が薄れ、自己肯定感が高まっていきます。

相手を肯定すると同時に、あなた自身が「否定のない空間」に身を置くことで安心が生まれます。

いい会話は「安心」から生まれるのです。

Step2:「聞くことの重要性」を理解する

人は自分に関心を寄せてくれる人を好きになる生き物です。それを裏付けるのが人の心理の3大原則です。

人の心理の3大原則
  • 人は誰もが自分のことが一番大切である。そして自分に一番興味がある。
  • 本来誰もが自分のことを認めてほしいし、自分のことをわかって欲しいと願っている。
  • 人は自分のことをわかってくれる人を好きになる。

この大原則を逆に使います
つまり、相手を理解することからすべては始めるということです。それは、相手の話を聞くことに他なりません。

美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男が薔薇の花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?
そう思った時点で君の負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。
その女性が本当に何を望んでいるのかを見極めることが重要なんだ。

スティーブ・ジョブズ

この言葉は人間関係の心理を表わしています。

相手を観察し、相手が求めているのは何か真剣に探す。そうすれば必ずうまくいくということです。

では、相手を観察し、相手の要求事項をどのように引き出すのか。
本書で相手に9割しゃべらせるテクニックとして「拡張話法」を紹介しています。

拡張話法

感嘆・・・相手の話を聞いた時に受ける感銘の表現
反復・・・相手の話を繰り返す
共感・・・相手の話に感情を込めて理解を示す
賞賛・・・相手を評価する
質問・・・相手の話を中心に展開させていくためにその後を追いかけて聞く

このテクニックを使うことで、相手が自分で自分の話を広げていってくれます。
そうする事であなた自身も相手を理解することができます。
また、相手も自分の事をわかってもらえたと好印象を持ってもらえます。

実は私はこの本を読む前から拡張話法を実践していますが、体験を以って、効果はかなり大きいと言えます。
自分はほとんど喋らずに相手がどんどんノってくれてしゃべってくれます。
簡単なので是非、実践してみてください。

Step3:想いやスタンスをしっかり伝える

最後の1割が「想い」や「スタンス」をしっかりと伝えることです。
  
「何を伝えたいのか」「どういう意識で相手と接しているのか」
こう言った内面は必ず会話に現れます。

それをわかった上で、自分自身がどういう言葉を選択するか。
そこが、人の心に響く本当の話し上手になれるかどうかの分かれ道です。

ここ最近で「想い」を感じたのが2022年夏の甲子園で優勝した仙台育英 須江監督のインタビューです。

須江監督のインタビュー(朝日新聞DIGITAL)

野球ファンのみならず、スポーツニュースなどでも取り上げられたのでご存じの方も多いと思います。
相手のことを思い、自分自身の想いが伝わる素晴らしいインタビューでした。
 

まとめ

自分自身の話をする前に、相手の本心を知るために、じっくり話を聞く。
話し方は「聞き方が9割」ということは、そういう事だと理解しました。

それはまさに相手との信頼関係を築くことに他なりません。

初対面だとしても、安心して会話できる空間づくりを意識し、相手が何を知りたいのかコミュニケーションを図り、相手の欲しい情報を伝える。

簡単なことではありませんが、本書のエッセンスを参考にしながら実践していきたいと思います。

この記事を読んで、気になった方は是非本書を手に取ってみてください。

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