伊藤穰一氏著「テクノロジーが予測する未来」を紹介します。
本書はweb3、メタバース、NFTといった最近よく耳にするキーワードをわかりやすく解説しています。
さらに今後そのテクノロジーによって世界はどの様に変わって行くのか、その変化にどう備えるべきなのかを解説した一冊です。
どんな本
著者の伊藤穰一氏は米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長、金融庁参与などを歴任し、現在はデジタルガレージ取締役を勤めながら、起業家、ベンチャーキャピタリストとして社会変革に取り組間れています。
その伊藤氏は「web3によって世界が変わる」と断言しています。
web3、メタバース、NFTの概要
web3、メタバース、NFTといった言葉の定義は本書をご覧ください。
web3の大切なキーワードは「Decentralized」=「分散化(非中央集権型)」です。
Web1.0、Web2.0を通じてインターネットは少数のプラットフォーム企業を中心とした中央集権的な構造になってしまいました。
web3ではプロックチェーンによりあらゆる点で非中央集権化された世界を実現しようとしています。
世界が今後どのように変わっていくのか
伊藤氏は「世代交代が進むにつれて、テクノロジーを活用してフェアで平等で持続可能な社会へと向かうべく、大きなパラダイムシフトが起こる可能性が高い」と語っています。
その理由は、「ゴールはビジョンから生まれ、ビジョンはパラダイムから生まれる」からです。
700年前、中世のイタリアで複式簿記が発明されたことによって、その後、経済を中心とした近代的な資本主義社会の仕組みが生まれました。お金をとにかく集めた人が勝ち、というパラダイムです。
現代社会もこのパラダイムの中にあります。
経済の成長により、より多くの人たちが社会に参加できるようになり、生活は便利に豊かになりました。
ただ、資本主義社会では資本家にお金や権力が集中し中央集権的になってきています。
その結果、貧富の差が生まれ、環境破壊なども進んでいます。
既存の価値観が限界を迎えているのです。そして、少しずつパラダイムシフトが生まれてきています。
よりフェアで平等で持続可能な社会をつくるというゴール設定のもと、テクノロジーを活用して社会はより「フェアで平等で持続可能な世界」というパラダイムシフトです。
これは物欲も強くなく、環境問題などの社会問題に敏感なZ世代の価値観も大きく影響しています。
そういった事から、世代交代が進むにつれて、テクノロジーを活用してフェアで平等で持続可能な社会へと向かうべく、大きなパラダイムシフトが起こる可能性が高いという事です。
私たち一人ひとりがどのように備えるのか
テクノロジーがもたらす新時代をどう捉え、いかなる意識で迎えていけば良いのか。
日本が行っていくべき変革とは、ドメスティック(国内に関する様々)なものを、ただデジタル化するだけでなく、デジタル化を通じてグローバルな存在へと変えていくことです。
これを大きな「ビジョン」として、世界に照準を定めたゴール設定をすることが、日本再生の道を切り開く唯一の鍵だと伊藤氏は締めくくっています。
まとめ
最近よく耳にするweb3、NFT、メタバースといったキーワードから、これからどのような未来が待っているのか、その未来に乗り遅れないよう、一人ひとりが意識を持って行動することが必要であることがわかりました。
私自身、IT業界に身を置いていますが、普段の業務の中でなかなかグローバルな視点までには至っていませんでした。
しかし、最近では海外プラットフォーマーのサービスが競合になることも多くあり、その影響力は日増しに大きくなっています。
この10年先を見れば、Z世代やアルファ世代が社会で活躍することを考えれば、パラダイムシフトという変化の波にどのように対応していくか、先の話ではないと改めて感じました。
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