日経新聞「倍速ニッポン」からみる「豊かな時間の過ごし方」

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動画や映像コンテンツを「倍速」で視聴していますか?

再生速度を上げることで短時間で多くの情報を仕入れることができるので、「倍速」を活用している人も多いかもしれません。

このように時間あたりの密度を高めることをタイパ(タイム・パフォーマンス)と表現します。
費用対効果を指すコスパ(コスト・パフォーマンス)の時間版です。

タイパ重視はZ世代の特徴とされ、背景には自由に使える時間が足りない状況があるようです。

若年層ほど、見たい動画や遊びに行きたい場所は多く、コンテンツ過多の環境に身を置いています。
またSNSで日々せわしなくコミュニケーションに対応しなければならず、つねに時間が足りなくなってしまいます。
その結果、タイパにこだわる必要があるということです。

ITの発達で時間の節約が進んでいると思いがちですが、それ以上にやることも激増しています。
これは何も若年層に限らず、情報過多な時代を生きる人々の共通課題です。

今回は日本経済新聞の「倍速ニッポン」という特集記事を参考に、「タイパ」という概念と「豊かな時間の過ごし方」という切り口で記事をまとめています。

「時間を無駄にしたくない」意識の高まり

すぐ聴けるゼロ秒イントロ

日本のポップソングの導入部分(イントロ)が最近、やたらと短くなっている――。

昭和・平成のヒットチャート上位20曲と2022年の同20曲を比べてみると、半分以下の6.3秒と短くなっています。

出典:日本経済新聞

理由は音楽配信の普及です。

サブスクリプション(継続課金)で聴き放題のため、利用者は好みの曲を探して次々と再生。
歌い出しやサビまで時間がかかる曲は、待ち切れずにスキップされてしまうのです。

ドラマ視聴は倍速

動画や音声コンテンツの倍速視聴は、人によってはもう「当たり前」になっているかもしれません。
限られた時間を有効に使い、できるだけ効率的に情報を得たり、学んだりしたいと考えるのは当然です。

博報堂生活総合研究所の消費者調査では、生活行動の高速化を求める比率は1999年の37.4%から、2019年に57.4%へ上昇したそうです。

また、タイパ重視な人たちに人気だった、映画作品を勝手にダイジェストにして配信する「ファスト映画」が問題になり、裁判になりました。

「待っていられない」学びも人生設計も最速で

大学の授業も倍速

セイコーホールディングスの2021年調査ではオンライン講義を倍速視聴する学生は半数を超えるそうです。

「内容を短時間で理解して、もっと先のことを学びたい」(都内の大学院生)。
捻出した時間は他の学習やバイト、趣味の時間に充てるとのこと。
タスクを無駄なく詰めるタイパの意識が透けて見えます。

日本企業の年功序列、昇進待ちの列は「タイパが悪い」

若手社員は昇進待ちの長い行列に並ぶことを”タイパが悪い”と考えているようです。
最近ではキャリアアップのための転職も増えています。
タイパを追う社員をつなぎ留めるために、企業は脱・年功序列に舵を切る必要があります。

でも、早ければいいものではない。豊かな時間の過ごし方

ただし、「何でもかんでも早ければいいわけではない」という一般的な感覚もあるでしょう。

その感覚の正体は、「豊かさ的時間」ではないでしょうか。時間の節約ばかりを考えてせかせかしているのは窮屈です。必ずしも合理的な選択が人生を豊かにしてくれるとは限りません。逆に、「豊かさ」を感じられる時間なら、時間をゆったりと過ごすことに価値があると感じることができます。

「最高のぜいたく」はスローな時間 広がる一点豪華主義

愛着のある対象にここぞとばかりに時間もお金も惜しみなく投入する、「一点豪華主義」の消費スタイルが広がっています。

まとめ

上限が1日24時間ということは誰にも動かせません。どんな人にも平等です。

限られた時間だからこそ、損をしたくない。そんな意識が若者を中心に広がり、「タイパ」という言葉が生まれたのではないでしょうか。

ですが、行き過ぎた時間の効率化は、短絡的な思考や行動につながり兼ねません。

時間を節約することに価値がある「時間の効率化と、時間をいかに豊かに過ごすかという「時間の快適化を使い分けることが必要です。

効率化と快適化の2つの方向性を使い分け、ビジネスや日常生活のタイパを高めていきましょう。

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